アメリカの大手不動産会社Realogyは2019/7/23に「Turnkey」というサービスのプロジェクトをローンチしたと発表しました。
Turnkeyのサイト:https://www.amazon.com/adlp/turnkey
このプロジェクトにはAmazonが参画しています。
世界的企業であるAmazonが不動産プロジェクトへ参画してきたことで、アメリカでは中小の不動産業者が淘汰されていく可能性が高まってきました。
目次
1. 今回リリースされたサービスの概要
2. 今回サービスをリリースしたRealogyについて
3. 最近のAmazonの動向
4. アメリカ不動産マーケットの現状
5. 今後の展望
1. 今回リリースされたサービスの概要
今回のプロジェクトにはAmazonの他、Better Homes and Gardens Real Estate、Century 21、Sotheby’s International Realtyなど大手不動産会社が参画しています。
このサービスは、プロジェクトに参加している企業のエージェントを通じて住宅購入契約を結んだ購入者に対して、Amazonが$1,000~$5,000相当の製品・サービスをプレゼントするというものです。
購入希望者は、Amazonのサイトを通じてTurnkeyのサイトへアクセスして自身の情報を入力します。
購入希望者とターンキー担当者とのやり取りの後、ターンキー担当者は希望エリアの不動産エージェントを選定し、購入希望者とつなぎます。
当該サービスを通じて住宅を購入した購入者は、購入する住宅の価格に応じてAmazonから家具・家電のプレゼントを受け取れるほか、Amazonが提供する家具の組み立てサービス等を利用することができます。
なお、このプログラム自体にかかるフィーはありません。
物件価格が$150,000~$399,000の場合は 最低$450相当のサービス + 商品 = $1,000まで
$400,000~$699,000の場合は 最低$1,000相当のサービス + 商品 = $2,500まで$700,000以上の場合は 最低$1,500相当のサービス + 商品 = $5,000まで
といった具合です。
なお、サービスの提供対象エリアは地図の通りで、ニューヨーク等、一部の大都市では利用できませんが、大半のアメリカ大都市でサービス利用することができます。
2. 今回サービスをリリースしたRealogyについて
今回このサービスを発表したRealogy(https://www.realogy.com/)は2006年に設立、現在はアメリカ・ニュージャージー州のMadisonに本社を置いており、アメリカ国内では大手の住宅用不動産仲介会社とされています。
なお、Realogyはアメリカのみならず世界各国へサービス展開しており、全世界で約11,800人(2017年)を雇用しています。
また、Realogyは全米で190,000以上の不動産エージェント及びアメリカ以外の112ヶ国で111,100の不動産エージェントと提携しています。
そのほか、Realogyは2012年にNY証券取引所へ上場しており、アメリカ最大級の不動産会社としてFortune500に選出されています。
3. 最近のAmazonの動向
一方、Amazonは2019年7月26日に2019年第二四半期の売上高を発表しました。
2019年第二四半期の売上高は、前年同期比約21%の売り上げ増加で、6,340億ドルとなりました。
また、拠点の拡大も進めており、ニューヨークに第二本社を置くと発表した際、2つ第二本社を建設するとしていました。
ニューヨークともう一つの決定地はワシントンD.C.に近いバージニア州アーリントンでした(ニューヨークについては、既に計画を撤回しています)。
Amazonは、このアーリントンオフィスにおける従業員の募集を既に始めており、今後10年間で25,000人を新たに雇用する予定としています。
また、7月22日に、オハイオ州北部のアクロン及びロスフォードでロボット駆動型配送センターの開設を決定、新たに2,500人以上の従業員を雇用すると発表しました。このように、Amazonは売り上げの増加とともに、拠点・従業員の拡大を進めています。
4. アメリカ不動産マーケットの現状
アメリカの不動産マーケットにおいては、2007年のサブプライムショック以降、住宅の販売数及び販売価格は上昇の一途をたどっており、2017年にはどちらも過去最高記録を更新しました。
一方、その後も販売数及び販売価格が上がり続けてはいるものの、上昇率は落ち着きを見せています。
また、ニューヨーク・カリフォルニア・ハワイなどマーケットが安定拡大しているエリアや、テキサス州などマーケットが急拡大しているエリアと、マーケットが伸び悩むエリアとの差が大きくなってきているのが現状です。
5. 今後の展望
今回のRealogy及びAmazonによるサービスリリースに伴い、アメリカにおける不動産取引の流動性が高まり、これまで以上に取引が活発化していくことが予測されます。
その一方、拡大を続ける世界的企業のAmazonが不動産業へ参入してきたことで、今後、アメリカでは中小の不動産業者が淘汰されていく可能性が高まったと言えるでしょう。