「ポスト・コロナ」を見据え、動き出すマレーシア経済

新型コロナウイルスへの感染数の拡大を受け、国内の多くの地域に複数回にわたって“ロックダウン”のような「活動制限 = Movement Control Order」を敷いていたマレーシア。しかし、感染状況が徐々に改善するにつれ、制限を緩和する動きが出てきました。この4月からは「オフィスへの出勤率の制限」が緩和されたことを受け、クアラルンプールの都心部では、以前のような「通勤ラッシュ」の光景も一部に戻ってきたようです。
「ポスト・コロナ」に向けて動き出すマレーシアの注目ポイントをご紹介します。

政府による強力な「デジタルシフト」宣言

マレーシアのムヒディン首相は21年2月のオンライン式典で、デジタル主導による経済改革を主眼とする「MyDIGITALイニシアチブ」を発表しました。「デジタル経済」はコロナ渦による経済への打撃からの復活の鍵となり、「2025年までにGDPの22.6%に貢献する」と掲げられています。それに向けて、デジタル分野に国内外から700億リンギット(約1兆7500億円)の投資を誘致することを目指すとされ、政府も5Gネットワークなどのインフラ整備に注力することが明言されました。
これまで、電気電子分野を中心とした「製造業の国」のイメージを内外から持たれ、外資の製造業が拠点を設けることも多かったマレーシア。しかし、今後は「MyDIGITALイニシアチブ」に沿って、マレーシア政府が積極的に誘致する海外企業にも変化が訪れると予想されます。マレーシアのデジタルインフラがさらに整備されれば、従前から設けられていた「IT分野を中心とする企業に向けた税制等の優遇である『MSCステータス』」に注目する海外企業も、いっそう増加する可能性もあります。

続く・深まる「日本とのつながり」

2月の首相宣言に続いて注目すべきなのは、マレーシアのアズミン・アリ上級相兼国際貿易産業相による4月の訪日です。日本・マレーシア共に、コロナ対策の各種の規制が残る中でも外遊する先として日本が選ばれたのは、マレーシアが経済政策や開発のパートナーとして、引き続き日本を重視していることの表れのひとつだと言えるでしょう。アズミン・アリ大臣は、このたびの外遊で日本と韓国を訪問。これに合わせて、日本貿易振興機構(JETRO)とマレーシア貿易開発公社(MATRADE)の間では新たな協力覚書が締結され、「両国の企業による、デジタルトランスフォーメーション分野における連携拡大」も、柱の一つとして打ち出されました。
マレーシアに進出する日本企業も近年は製造業にとどまらず、日本最大級のQ&Aサイトを運営する「オウケイウェイヴ」のグループ会社によるフィンテック事業や、「でらゲー」によるスマートフォンゲームなど、デジタル~クリエイティブ分野など多岐にわたっています。

一方、コロナ渦で、マレーシア経済も当然のことながら大きな打撃を受けています。国民の失業率が上昇したことから、自国民の雇用を確保すべく、国外からの就労者へのビザの発給や更新のハードルが上がっている…との声も、マレーシアに進出している/進出を検討している日系企業の複数の関係者から聞かれています。実際、2021年1月からは、就労ビザの申請関連の手続きの一部に変更が追加されました。
「ポスト・コロナ」に向け、まだしばらくは不安定な状況が続きそうな中では、このような「制度や運用の変化」の情報を常にキャッチし、対応していくことが求められます。
当社では、マレーシアの政府機関とのネットワークを生かし、これらの変化に柔軟に対応できるようサポートいたします。「ポスト・コロナのマレーシアのビジネス環境に興味がある」、「ポスト・コロナを見据え、マレーシアへの進出を検討している」という企業のご担当者は、ぜひお問い合わせください。

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