マレーシアを語る時にはずせないキーワードの一つが「多民族国家」。約3270万人(2021年時点)の人口のうち、国全体では
- マレー系: 約69%
- 中華系: 約23%
- インド系: 約7%
という民族構成になっており、各民族は主に
- イスラム教徒
- 仏教徒
- ヒンドゥー教徒
から成っています。(一部には、キリスト教徒やシーク教徒などの方も含まれます)
ガイドブックなどで、クアラルンプールの「チャイナタウン」や「リトルインディア」を目にされた方も多いのではないでしょうか。
しかし、クアラルンプールなどの都市圏においては、中華系の人口比率がより高くなっています。また、歴史的に中国からの人々が多く定住したマラッカ、ペナン、イポーなどの都市では、中華系の人口比率はさらに上がり、街なかでも中国語が話されている光景がよく見られます。
そんな「多民族マーケット」に向けて、BtoCの製品やサービスを展開する企業は、複雑なマーケティング戦略を策定したり、実行したりすることが求められています。
例えば、ほぼ民族を問わず・商業的な”盛り上がりムード”を作る機会として「クリスマス」が活用されていますが、
各民族にとっての1年で最大のお祝いのタイミングは、クリスマスや1月1日の年越しではありません。(そのため、マレーシアではいわゆる「年末年始休暇」がなく、1月1日だけはお休みになるものの、その前後は普通に営業している企業がほとんどです)
各民族にとっての「年の重要な節目」は
- マレー系: イスラム教のラマダン(断食)明け
- 中華系: 春節 (チャイニーズニューイヤー、旧正月)
- インド系: ディーパヴァリ (ディワリ)
なのですが、いずれも「太陽暦」とは異なる暦に基づいているため、毎年日にちが変わっていきます。
特定の民族をターゲットとするブランドや企業は、それぞれの節目に絞って大規模なキャンペーンなどを展開します。一方、大規模なショッピングモールなど「すべての民族」をターゲットとしている企業は、節目ごとに異なるキャンペーンを展開しています。
ここマレーシアでは現在、来る春節(チャイニーズニューイヤー:2022年2月1日・2日)に向けて、中華系向けの各種キャンペーンが盛大に繰り広げられています。
各地のモールにはクリスマスをしのぐほどに豪華な装飾がなされ、赤と金を使った「春節限定デザイン」の商品を発売するメーカーも多数。TVやYouTubeには、中華系インフルエンサーなどを起用した春節用の広告があふれています。
中華系は人数としては少ないはずなのに、どうしてそこまで…と不思議になるところですが、背景には「マレーシアでは、中華系は他の民族よりも高所得である」という事情があります。
マレーシア統計局の発表している2020年度の給与・賃金統計にも、この傾向は明示されています。(1リンギット=27円で換算)
「to C」を対象とする商品やサービスのマレーシアでの展開を検討される企業は、この「多民族」の中からどの民族をメインターゲットとするかをまず決定する必要があります。
民族ごとに文化や習慣、価値観も異なることから、マレーシアは「マーケティングのハードルが高いけれども、非常に面白い市場」だと言えるでしょう。
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