見逃せない「日本ファン」層 – 「中華系マレーシア人」に注目!

各国が「観光客の受け入れ」に向けて、徐々に入国基準を緩和して来ている昨今…ではありますが、マレーシアと日本は共に、まだ「自由に海外旅行に行く」ことが難しい状況が続いています。

そんな中、春節休暇の近いクアラルンプールで先日、気になる光景を見かけました。

「ミッドバレー・メガモール」に隣接する、欧米のラグジュアリーブランドを集積したコーナーで、ルイ・ヴィトンやバーバリーの店先に長い列…!並んでいる人の大半は中華系です。後日、マレーシアのローカルの友人にこの話をしたところ、
「都市部の中華系には、お金持ちが多いでしょ (*以前、こちらの記事でもご紹介しました)。パンデミックの前には春節の休暇を使って海外旅行に行く人が多かったけど、今年も行けないから、その分の予算でブランド品を買ってるんじゃないかな」
…とのコメントが。

これを聞いて、思い当たることがありました。
日本政府観光局の調査では、パンデミックの直前:2019年には、マレーシアからの訪日旅行者数は過去最高の501,700人を記録。当時東京に住んでいた筆者も、街なかで「ヒジャブをかぶった、東南アジア系のムスリムの女性」をしばしば見かけるようになったことから、「確かに、マレーシアからの訪日客も増えているんだな」と感じていました。多くの日本人にとって、見た目にわかりやすくイメージがわくのは、この「マレー系・ムスリムのマレーシア人」ではないでしょうか。
ところが、同調査によると、実はマレーシアからの訪日旅行の大半を占めるのが「中華系マレーシア人」なのです。彼らは台湾や香港など他の中華圏からの旅行者と同じような外見のため、街なかで見かけても「マレーシア人だ」と気づかない日本人も多いことでしょう。

この「日本好きな、都市部在住の中華系マレーシア人」の存在は、クアラルンプールに暮らしていると日々身近に感じることができます。
例えば、2020年のオープン以来賑わっている「ドンキホーテ」の店内で見かける買い物客は、大半(*感覚的には8~9割程度)が中華系マレーシア人です。「マレーシアのドンキ・ファンによるFacebookグループ」があるのですが、そこに投稿されているコメントも、ほとんどが中華系によるもの。「日本に行った時に見つけた、お気に入りの商品を紹介し合おう!」、 「日本に旅行した時に買って美味しかった、●●ってお菓子を扱ってくれないかな」…などの投稿も目にします。

クアラルンプールに暮らす筆者の、中華系の友人の一人・Fさん(40代・男性:経済的な余裕が大きく、つい先日も家族でヨーロッパへスキー旅行に出かけてきたところ)もそんな一人。
「パンデミックの前には、毎年のように日本に旅行していたよ。日本で見つけた『NITORI』が最近クアラルンプールにもオープンしたから、大喜びしていたところ。便利な雑貨がいろいろあって、大ファンなんだ」
…と、「マレーシアで展開する日本ブランド」のサポーターにもなってくれています。

別の中華系の友人・Cさん(50代・女性:ご主人はリタイア済み、お子さんは20代)も
「日本には何度か家族で旅行しているけど、京都・大阪・奈良を冬にまわった時が楽しかった!京都では古い日本の建物にも泊まったんだけど(*どうやら、町家をリノベーションしたホテルのことのよう)、一部に『昔のままの台所やトイレ』が残されていて。サイズも小さいし、寒い!昔の日本の家ってこんなだったんだ!って、とても興味深かった」
…と、旅を通じて日本のカルチャーにも親しんでいました。

マレーシアの人口の約4分の1を占める中華系は“少数派”ではありますが、実は

  • 中華系マレーシア人: 約750万人
  • シンガポールの人口: 約570万人
  • 香港の人口: 約750万人

…と、「インバウンド誘致」や「海外販路開拓」の際に重要ターゲットの一つとされることの多い中華系のエリア:シンガポールや香港の人口をしのぐ/それに匹敵するボリュームだったりもします。
マレーシアでの展開を目指す日本企業にとっては、注目すべきターゲットだと言えるのではないでしょうか。

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