最近Twitterトレンド入りの「帰国足止め」の体験記です。
※以下は、2022年8月にタイとシンガポールに出張した際の体験に基づいた情報です。受検可能な新型コロナウイルスの検査方法は滞在国によって異なり、また、今後日本政府によって日本入国時に必要な検査証明書などについても変更が生じる可能性があります。最新の情報は、厚生労働省および各国の日本大使館などの公的なウェブサイトでご確認ください。
今回、筆者はタイとシンガポールに出張した際、帰国前のPCR検査で陽性となり、「帰国足止め」を体験しました。昨今、同様の体験をされた方々を中心にインターネット上には様々な意見が飛び交っていますが、現在「足止め」となっている方のお役に立てればという思いで、今回の記事をお届けしたいと思います。
- (可能な場合は)PCRではなく、抗原定量検査を受けよう
- 帰国便搭乗の72時間前からとる行動
- もしも、PCR検査で陽性になった場合
- 「帰国レター」発行の準備を急ぐ
- 帰国足止めに伴う費用に、海外旅行保険が使えるか確認
(可能な場合は)PCRではなく、抗原定量検査を受けよう
今回大きく学んだのは、一部の人にとってはPCR検査は「危険な賭け」になる可能性があるということです。(過去に新型コロナウイルスに感染した経験のある方は、その際のウイルスの影響が長引き、後に受けたPCR検査で陽性の結果が出てしまう可能性があります)
特に過去に感染経験のある方は、「 抗原定量検査」を受けることで、そのようなPCR検査のリスクを回避しやすくなります。(※なお、滞在国/またはクリニックによっては 「 抗原定量検査」 が受検できない場合もありますので、受診予定のクリニックに直接お問合せください)
なお、「抗原定量検査」は一般的に抗原検査( =抗原定性検査 )と呼ばれる簡易検査ではなく、医療機関にて検査が必要です。
抗原定量検査(Quantitative Antigen Test(CLEIA、ECLIA))は日本政府が指定する検査の一つで、国によっては一般にPCR検査よりも安価で、かつ検査結果の取得までの時間を大幅に短縮できるメリットがあります。
また、もしも帰国前にPCR検査を受けた場合に「陽性」と判定され、隔離期間を経た後に再度検査を受ける際には、可能であればPCR検査ではなく、抗原定量検査の受検を強くお勧めします。
「PCRは残存するウイルスの『死骸』に反応して擬陽性が出続けてしまうため、10日間の療養後、ほとんどの方はこの『抗原定量検査』を受検すれば、陰性を取得することができる」と、私が相談した在タイ日本国大使館の邦人援護班担当者から教えて頂きました。
バンコク市内では,以下のクリニックで, 抗原定量検査 が受検できます。
サクラクロスクリニック
DYMクリニック
帰国便搭乗の72時間前からとる行動
時間とスケジュールに余裕のある方は、滞在中にこまめに検査を受けることをお勧めします。
というのも、多くの国では「陽性」が発覚して医師の診断を受けてから待機(隔離)期間のカウントがスタートするためです。(早めに陽性がわかれば、その分早く隔離期間に入ることができます)
しかし、陽性になったら行動制限がされることになりますので、どうしても外せない用事がある方は注意が必要です。
また、帰国前の検査は、指定されている「帰国便搭乗の72時間以内」のなるべく早い段階で受検しておいた方が良いでしょう。
滞在中に発熱などの症状が現れた人は、間違いなくコロナを疑って検査を受けることになり、その時点で、静養期間が設定されることになると思います。
問題は、「無症状」である方です。自分は大丈夫とたかをくくっていた私は、まさかの72時間前に陽性になり、目の前が真っ白になりました。
簡易検査キットなどで、自分でこまめにチェックすることも重要かと思います。
もしも、PCR検査で陽性になった場合
当たり前ですが、発熱などの自覚症状があれば、まずはしっかり療養をしてください。そして速やかに医師の診断書を確保してください。この診断書が「回復レポート」の取得につながります。
私の場合、無症状で、帰国便搭乗の72時間前の検査結果のみが唯一の証明でした。今回は、後に受けた2回目の検査で陰性となり、予定より4日遅れで無事帰国ができましたが、いったん帰国前のPCR検査で「陽性」となった多くの方が10日以上も足止めを食らっている状況です。
陽性反応が続く場合には大使館で「帰国レター」を発行してもらえるケースがあるため、医師の診断証明を発行してもらうべきだったと反省しております。
「帰国レター」発行の準備を急ぐ
PCR検査で陽性になったものの、症状は無く/回復しているにもかかわらず、その後の検査でも陽性になり続ける方は、滞在国の日本大使館が「帰国レター」の発行に対応している場合には、そのレターを陰性証明の代替として使用して帰国することができます。
- 帰国レターには「帰国便搭乗の72時間以内」の縛りがありません。
- 原則、発行された国から帰国する場合に有効です。
なお、タイとシンガポールでは「帰国レター」を発行を希望する場合、必要書類の要件が微妙に違いました。ご参考にしていただければ幸いです。
まずタイですが、必要書類は以下の通りです。
①旅券の人定事項ページの写し
②日本帰国・入国予定のフライト情報(eチケット写し等)
③新型コロナ陽性と判定された後に療養期間を徒過し、新型コロナから回復している旨を記した医療機関等の診断書等(様式自由)
④新型コロナの療養期間終了後に、再度検査した結果が陽性となった検査結果
そして、シンガポールでは以下の通りです。
① 旅券
②ワクチン接種歴がわかるデータや資料
③コロナに感染してから回復したことが確認できるもの
④ 回復後に受けたPCR検査の陽性結果
タイの場合、帰国のためのチケットの写しが必要になるに対して、シンガポールでは不要です。また、シンガポールではワクチン接種履歴が必要なのに対して、タイでは不要でした。
タイでポイントとなったのは、医師の診断書です。こちらは所定のフォーマットはなく、様式が自由ですが、英語又は日本語での診断書が必要になります。
帰国足止めに伴う費用に、海外旅行保険が使えるか確認
「 備えあれば患いなし 」。渡航中不幸にも帰国足止めになった場合、予定が変更になった宿泊費、航空券、医療費は海外旅行保険でカバーされることが多くあります。詳細な条件は保険によって異なるので、ご出発前に保険会社へ確認をしてから出国することをお勧めします。
(補償の範囲内ならば、ちょっと良いホテルなどに移動してゆっくりすることだってできたりします)
各国の大使館領事部の方に感謝します
今回の私の場合、在タイ日本国大使館領事部 邦人援護班と、在シンガポール日本国大使館 領事班のご担当者様に深く感謝すると共に、帰国までのアドバイスにもご尽力をいただけたことに、心より敬意を表します。
本当にありがとうございました。
そもそも「 自国に帰国できないとはどんな状況か? 」 を今まで体験しておりませんでしたが、今回”足止めの洗礼”を受け、個人的には様々な疑問が心に浮かんできました。
日本が島国である以上、 パンデミックの当初は必要な水際対策であったことは十分に認識しています。しかし、パンデミックのフェーズも変わり、世界の多くの国が入国時の規制を撤廃する中、現状の水際対策は日本におけるビジネスの海外出張のハードルを非常に高くしていると言わざるを得ないかと思います。
パンデミックが早々に収束し、海外とのビジネスの往来が以前のように活発化することを願ってやみません。
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